死亡診断加算について

在宅医療における終末期関連の主な診療報酬として、「看取り加算」「在宅ターミナルケア加算」(「在宅患者訪問診療料」の加算)と「死亡診断加算」(「往診料」「在宅患者訪問診療料」の加算)があります。

死亡診断加算(200点)と看取り加算(3,000点)は要件が非常に似ていますが点数が大きく異なります。

「看取り」まで含めた在宅医療の提供をお考えであれば、この3つをしっかりと理解する必要があります。

目次

「死亡診断加算」の算定要件

患者が居宅で死亡した日当日に、往診または訪問診療を行い、死亡診断をした場合に算定し

【「死亡診断加算」(往診料)を算定できない場合】

① 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)の死亡診断加算を算定した場合

② 看取り加算を算定した場合

【特例】

患者が厚労大臣が定める地域(離島、振興山村など)に住んでいる場合で、正当な理由により、医師が直接死亡診断を行うまでに、12時間以上要すると見込まれる場合、

(訪問)看護師などと連携し、ICTを用いて死亡診断を行った場合、往診・訪問診療をすることを要しない

「看取り加算」との違い

「看取り加算」の算定要件は、『事前に患者またはその家族の療養上の不安を解消するために十分な説明を行い、同意を得たうえで死亡日に往診、または訪問診療を行い居宅で看取りをしたときに算定』します。

ポイントは、①「事前に~」と②「十分な説明を行い、同意を得たうえで~」になりそうです。

容体の急変による死亡の場合は「死亡診断加算」。事前にある程度の見通しを立て、ご家族に療養上の注意点などを伝えていた場合は「看取り加算」を算定してよいかと思います。

【共通点】

死亡診断加算も看取り加算も、死亡の瞬間に立ち会うことを要しません

医師法21条との関係

医師法21条は、医師は検案の結果、異状があると認めたときは24時間以内に警察に届け出る義務がある旨を定めています。「異常死体」とは、他殺あるいは自殺の可能性があるものを言います。

つまり、訪問診療など「継続的」に診療を行っていた患者の死亡を患者宅等で行った場合で、病気の経過として亡くなったと判断できる場合には、当該届出は不要と思われます。

逆に言えば、「定期的に訪問診療などを行っていない」方の、死亡診断をご家族から依頼された場合には、検死になることが多いといえます。

さいごに

在宅医療の終末期関連で主なものは、「死亡診断加算」「看取り加算」「在宅ターミナルケア加算」の3つです。

国が居宅(病院外)での看取りを推進していると考えてよいのでしょうが、在宅での最期を迎えることを望む方も現実に増えています。

ご自宅で看取りを行う場合、「死亡診断加算」「看取り加算」の対象となりますが、特に「看取り加算」は3,000点と患者・家族の経済的な負担も少なくありません。患者・家族が在宅での看取りまでを考えているようであれば、事前に費用負担を含めた丁寧な説明が必要になります。