相続の基本ルール

相続は、よほどの事情がない限り、誰もが1度は経験することになります。

そして、相続は突然起こります。長い闘病の末のことであってもそれは変わりません。

悲しみに暮れ、心の整理をしつつも、現実的なところさまざまな行政手続や遺産の整理を行わなければなりません。とくに、「相続の承認・放棄」の手続きは3カ月以内、「相続税の申告・納付」は10カ月以内にしなければなりません。

手続きを少しでもスムーズに行うためには、あらかじめ相続についての知識があると安心です。

目次

相続財産とは?

相続人は、相続開始のときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
【民法896条】

ここで注意したいのが、「義務」も承継しなければならないという点です。代表的なものは個人の生前の借金です。そのため、相続が発生した際にはなるべく早い段階で相続財産の調査を行う必要があります。

相続財産調査の際、いわゆる財産(プラスのもの)に比べて、債務関係は分かりずらいケースが多く見られます。とくに注意したいのが「連帯保証契約」の有無です。連帯保証人の地位も当然相続の対象となります。

相続するかは3カ月以内に判断

エンディングノートや故人宛の郵便物を手掛かりに相続財産の調査を行います。通常の預貯金やローン、不動産は金融機関や法務局に問い合わせることで比較的簡単に調査ができますが、連帯保証契約はすぐにはわかりません。

※ 個人で事業を行っていた場合などは、とくに入念な調査を心掛けてください。
  承認期間を経過してから放棄することは原則できません

相続税について

相続財産-債務-基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)

相続財産から、債務、基礎控除額を引いてなおプラスの財産があれば、相続税の対象となります。

※ これ以外にも、いくつか控除の制度がありますので、気になる方は税務署や税理士に
  相談されることをお勧めします。

遺言書がないと「遺産分割協議」

民法には法定相続分」(『配偶者は2分1~』)という規定があります。

ですが、遺産帰属先(誰が何を相続するのか)は遺言書がない場合には原則、相続人全員の話し合いが優先されます。

遺産分割協議を行うコツ

1.話合いの進行役を決める(相続人の誰か、あるいは親戚など)

2.「平等な分け方はない」と覚悟する

「遺留分」という制度

遺産の分割が当事者の話し合いに任されているとはいえ、あまりにも不公平な分割をさせないため(ほかにも理由はありますが)、「遺留分」という制度があります。

「相続分の最低保証」といったところでしょうか。遺留分の規定は遺産分割協議はもちろん、遺言書にも適用されます。

さいごに

遺産分割協議を含めた相続手続きは時間を掛けてはいけません。また、相続人同士に負担をかけてもいけません。話合いがまとまらなければ、相続人は財産に手をつけることもできません。

相続を機に家族同士の交流がなくなることは珍しいことではありません。これは、財産の多い少ないに関係ありません

相続の基本ルール

1.遺産分割は相続人任せにしない(遺言書を書く)

2.債務はハッキリさせる(又は、相続財産の調査は負債を探すこと)

遺言書ひとつで解決できることがあることがお分かりいただけるかと思います。また、遺言書を作る前に、相続の基本的なルールを知っているだけで、手続きはスムーズに進めることができます。

関連書籍も充実していますし、弁護士、税理士、行政書士など専門家へもお気軽にご相談頂ければと思います。