看取り加算と死亡診断加算の違い〜自宅で看取りを行った場合の加算

訪問診療専門診療所にとって、「看取り」は大変重要なテーマであり、しっかりと理解しておく必要があります。また、在宅での看取りは、医療政策のみならず、患者ニーズの高まりという点でもますます重要性が高まっていきます。

目次

看取り加算(3,000点)とは

往診または訪問診療を行い、在宅で患者を看取った場合には、在宅患者訪問診療料を算定する場合に限り、3,000点を所定点数に加算します。

「死亡診断加算」とは異なり、在宅患者訪問診療料にのみ設定されています。

医師一人の医療機関の場合、他院と連携することで24時間の往診等の訪問体制を維持している場合で、連携先医療機関が看取りを行った場合には、実際に看取りを行った医療機関が「看取り加算」を算定することになります。

死亡診断加算(200点)とは

患者が死亡した日に往診または訪問診療を行い、死亡診断をした場合に算定します。在宅患者訪問診療料の看取り加算を算定した場合には算定できません。

看取り加算と死亡診断加算の違い

看取り加算は、事前に患者またはその家族等に対して、療養上の不安等を解消するために十分な説明を行い、同意を得た上で、死亡日に往診または訪問診療を行い、患家で看取った場合に限り算定できます(参考)。

上記の要件を満たさず、看取りを行った場合には、看取り加算ではなく、「死亡診断加算」を算定します。

看取りと立会の問題について

看取り加算で従来大きな問題となっていたのが、死亡のタイミングでの「立会い」の問題です。

従来、死亡のタイミングに立ち会わず、死亡後に死亡診断を行った場合、「死亡診断加算」になるとされていました。このような運用については、当然ですが医療機関からの反発が相当強かったようです。

そこで現在では、『事前に患者やその家族等の不安等を解消するための〜』の要件を満たすことで、必ずしも患者の亡くなる瞬間に立ち会うことを要しないこととされました。

ここでも、「不安を解消するために十分な説明を行い同意を得る」についても、非常に曖昧であり、特に看取り実績の十分ではない医療機関にとっては悩ましい問題かと思われます。医師が十分に説明を尽くしたと考えていても、同意書の形で同意を確認していても、医療者ではない家族等にとって、患者の意識がない状態は非常に動揺するものです。

また、看取りは大変デリケートな問題でもあります。

特に、臨終が深夜帯の場合、臨終の時点での立会が不要であったとしても、すぐに自宅に訪問し死亡診断をしたほうがいいのか、翌朝の訪問がよいのかについても事前にご家族と話し合うことも必要です。