自宅での看取りを行った場合の診療報酬
国の医療政策の傾向は、自宅(病院外)での看取りを推進しています。
自宅で最期を迎えたという希望は、患者側でも増加しています。厚労省の調査では全体の6割前後が自宅での看取りを希望しているという結果が出ています。
在宅医療を提供する患者が増えている、看取りも含め本格的な在宅医療の展開を検討しているのであれば、関連する診療報酬についてしっかりと知っておく必要があります。
目次
「看取り加算」の算定要件(3,000点)
「看取り加算」は、在宅患者訪問診療料の加算のひとつ
看取り加算は、往診または訪問診療(Ⅰの1、Ⅱのイ)を行った患者を在宅で看取った場合に算定します。
在宅患者訪問診療料には、看取り加算の他、「死亡診断加算」「在宅ターミナルケア加算」があります。看取り加算には死亡診断にかかる評価も含まれているため、看取り加算を算定する場合、死亡診断加算は算定することができません(在宅ターミナルケア加算は併算定可能)。
看取り加算の内容
看取り加算は、患者や家族の①療養上の不安を解消するための②事前の説明などを踏まえ、③死亡日に患者を診療したことを評価するものとなっています。
①、②については、非常に抽象的な記載となっていますが、ご家族や、訪問看護師等から患者の容態の異変等の連絡を受けた場合に、往診等を行い、死期が近いと判断した場合、どう対応すべきか説明など行うことと考えられます。
「看取り加算」算定の注意点
① 往診日、診療内容のレセプトへの記載
死亡日に往診または訪問診療が行われなかった場合は、「死亡診断加算」となります。
② 必ずしも息を引き取る瞬間に立ち会う必要はない
死亡日に往診または訪問診療を行い、事前説明等を行っていれば、翌日の訪問(死亡診
断)でも算定可能
③ 患家で看取った場合に算定可能
病院に搬送した場合には算定不可
④ 連携先が看取った場合は、実際に看取った医療機関が算定
さいごに
自宅での看取りの方針を固めていても、現実に呼吸が停止している、心拍が停止しているなどの状況になれば、ご家族は当然動揺します。時には救急車を呼んでしまうこともあるでしょう。
「いよいよ」というときには、事前説明の段階で、どれだけご家族の不安や動揺をケアできるかがポイントになります。ご家族が救急車を呼んでしまった場合に備えて、事前に指示書など作成する、まずは主治医に連絡する旨を伝えることが考えられます。
また、「看取り加算」は、3,000点(自己負担が3割であれば9,000円)と高額になります(ターミナルケア加算(3,500点~)が加わるとさらに高額)。
請求書発行時に無用のトラブルとならないよう、事前の説明で費用についてもしっかりと説明し、理解を得ておくと安心です。看取り加算の算定に「同意書」を得ることは要件とはなりませんが、費用面も含め、文書を取り交わすことも必要かもしれません。