診療所が病床を設置するには

近年、有床診療所の数は激減しています(参考:厚厚生労働省HP)。「人員確保」「コストの問題(収益とのバランス)」などが原因としてあげることができます。

一方では、新型コロナウイルスへの対応として、病床数を増やし、診療所から病院へ移行した医療機関があります。また、在宅医療の提供にあたり、病床を新設・増床する診療所も出てきています。

では、どうすれば病床を設置することができるのでしょうか?

原則:病床の設置(増床)には知事の許可が必要

診療所に病床を設けようとするとき、または~変更しようとするときは、厚生労働省令で定める場合を除き、当該診療所の所在地の知事の許可を受けなければならない(医療法7条3項)

知事又は~特別区の区長は、前3項の申請があった場合において、~定める要件に適合するときは、前3項の許可を与えなければならない(同4項)

医療機関の病床設置許可を定めた医療法7条3項、4項では、施設の構造設備又は人員基準に適合する場合は、許可を与えなければならないとされています。

診療所は長期入院を予定しておらず、病院の病床とは機能が異なることから、医療法の基準病床数制度の対象外とされていました。しかし現在では、一定の場合を除き、一般・療養病床を診療所に設置する場合には、病院と同様に基準病床数制度の対象となります。

つまり、一般・療養病床について「過剰」となっている地域については、病床の設置(増床)ができない可能性がります。

特例診療所なら許可は不要

ただし、都道府県の「医療計画」で以下の診療所として記載される、又は記載されることが見込まれる診療所については、医療法7条3項の許可を受けることなく診療所に病床を設置することが可能です。

① 居宅等における医療提供の推進に必要な診療所

② へき地等に設置される診療所

③ ①②のほか、小児医療・周産期医療その他の地域において良質かつ適切な医療が提供される
  ために必要な診療所

※この場合、病床設置したときから10日以内に、省令で定める事項を知事に届け出る必要があり
 ます。

さいごに

知事への「病床設置許可申請」の対象となるのは、一般・療養病床です。冒頭でご紹介した診療所は新型コロナウイルス感染者が国内で確認された時早い時期から県内で積極的に対応にあたられた診療所です。

また、「特例診療所」は、在宅医療を含めた地域包括ケアシステム構想の充実・推進を行政が後押ししていることの現れです。

診療所の専門化・高度化で他院との差別化を図る診療所は増えています。2025~2040年に向けて、在宅医療の検討は避けては通れません。「有床診療所」となることで在宅医療の分野での差別化を図ることも可能です。