医療法人の役員とは~医療法人の理事は誰にすればいい?

医療法人の役員とは、理事と監事のことを言います。医療法人の役員は社員総会で選出されます。一般の株式会社の取締役が株主総会で選出されるイメージでしょうか?

医療法人の役員は定期的に「理事会」を開催し医療法人の経営方針についての様々な決定をしていきます。

目次

医療法人の役員の基礎知識

1.理事:3名以上(うち1名が理事長) 監事:1名以上

2.任期:2年を超えることができない(再任可能)

3.①自然人のみ ②成年後見人又は被保佐人ではないこと

  ③その他、医師法などの規定による罰則を受け、その執行を
   終え、又は執行を受けることなく一定期間を経過した者

役員について知っておきたい5つのこと

1.役員は社員である必要はない

時折、理事は社員の中から選ばなければならないとお考えになる方がいらっしゃいますが、役員は社員である必要はありません。

医療法人が開設する施設の管理者は必ず理事に加える必要があります(例えば、分院の管理者)が、この場合でも当該施設管理者を社員にする必要はありません。

2.未成年者は役員になれない

未成年者が理事に就任できないという規定は存在しません。しかし、理事の職務の性質上、未成年の理事就任はほぼ認めない自治体がほとんどです。

例外的に、医学部に在籍している場合認められる場合があるようですが、これも確実に認められるわけではありません。

3.理事長になれるのは医師又は歯科医師のみ

医療法人の理事長は医師又は歯科医師の資格を有する者でなければなりません(医師法46条の6)。

例外的に、都道府県知事の認可を受けた場合、非医師・非歯科医師が理事長に就任することが認められる場合がありますが、可能性としては相当低いでしょう。

4.構成は最小限で

理事の数は医療法人の規模に応じて適切な人数である必要があります。しかし、必ず理事に加えなければならない施設管理者を除けば、外部の人間を理事に加えることは慎重になるべきです。

コンサルタントを称する人間で役員になろうとする人間がいますが注意が必要です。また、設立要件である理事3名を確保するために親族を理事にすることも考えものです。

5.監事はどうする?

監事の職務は、①医療法人の業務・財産状況の監査、②監査報告書の作成と社員総会への報告などです(医療法46条の3)。監事は医療法人の財産状況の監査を行う関係からできれば財務や経理に精通した人材を選びたいところです。

理事又は医療法人の役員は監事になることができません。また、顧問税理士の監事就任には慎重になるべきです。収支報告書・決算報告書作成を税理士に依頼している場合、本人が作成した書類について監査を行うかたちになってしまうからです。

さいごに

通常、小規模の医療法人では「社員=役員」となりますが、法人の規模に応じて適切な構成とする必要があります。
その際に選び方を誤ると、社員の人選ミスと同様、医療法人の経営権を失うことになりかねません。

理事長(院長)以外の理事に医師又は歯科医師の資格を有する者がいる場合は、地位確保のための工夫が必要となります。

医療法人の設立が「節税目的」の場合で、役員候補が3名(院長を除く2名)確保することが難しい場合は、医療機関の税務に精通した税理士と医療法人設立以外の方法についての検討をされることをお勧めします。