医療法人化して在宅医療を拡大する

 クリニックなどの小規模・無床医療機関の経営安定のポイントとして、①より専門性を高める ②在宅医療を取り入れるの2つを上げることができます。

 本格的な高齢社会を迎えるにあたり、外来患者の減少は確実です。これは同時に在宅医療のニーズの一層の高まりも確実だということにもなります。

目次

在宅医療と医療法人化の関係

 現状、在宅医療に関する診療報酬は高く設定されています。また、算定項目も拡充の方向で改定されています。しかし、在宅医療の対象となる患者が増加すれば、軽症の患者に対する診療報酬は減額される可能性があります。

 つまり、在宅医療の分野で安定した収益を上げるためには、如何に重度の患者に対応できる体制を持つことができるかが重要になります。

 医療法人を設立することで以下の対策をとることが可能になります。

医療法人なら複数の施設を持つことができる

1.分院の開設ができる

 医療法人を設立することにより、個人では認められなかった複数の医療機関(分院)を開設することが可能となります。

2.介護保険事業所の設立

 有料老人ホームなどの介護保険事業を行うことができます。また、設立主体が「法人」でなければならない事業(デイサービス、グループホームなど)も可能となります。

3.訪問看護ステーションの開設

 訪問看護は在宅医療の要です。訪問看護ステーションの設立は法人でなければできません。

医療法人設立でコストの削減

1.法人で人材を一括採用(人材確保)

 若年層の減少などの理由により、年々医療従事者の確保は困難になっています。24時間対応可能な体制を確保するには、人材の確保が重要なってきます。

 複数の医療機関で人材を融通することで採用コスト、人材育成コストの削減が可能となります。

2.医療材料などの一括仕入れ

 複数の医療機関で必要となる診療材料などを一括して仕入れることでコストの削減が見込めます。

さいごに

 在宅医療を望む患者が増えれば、自院のみ(特に医師一人の医療機関)で対応することは困難になります。訪問看護・介護を含めた複数の機関で対応できる体制を構築するうえで医療法人の設立も実は有効な手段となりえます。