クリニックの開業資金(自己資金)
独立して、クリニックを開業するにはいくら必要なのか。
また、その資金をどうやって調達すればいいのかは、どの医師にとっても悩ましい問題です。
開業医が十分な収益を得ることは、年々難しくなってきています。
クリニック経営を失敗させないためには、準備の段階で、「事業計画」(資金繰り)についてしっかり検討しておきましょう。
開業に必要な資金の相場は、診療科によっても異なりますが、テナント開業で一般に5,000万円前後は必要となってきます。
資金の調達としては、①自己資金 ②金融機関からの借入 ③リースとなります。
目次
自己資金① 金銭消費貸借契約
自己資金の中には、身内からの資金援助も含まれます。
資金援助の申出はありがたく受け取るべきと思いますが、何の手続きもしないと資金提供が「贈与」とみなされ、高額の贈与税の支払をすることになります。
手続き① 金銭消費貸借契約書を作る
他人からお金を借りた場合と同様の契約書を作成します。
契約書のポイントは、「いつまでに」「いくら」返済するかです。
また、原則として「利息」を設定することもポイントとなります。
手続き② 返済の記録を付ける
金銭消費貸借契約書は、契約の成立を証明するだけですので、現実に契約に則った返済が行われている証拠を残しておきます。
自己資金② 贈与
贈与は2通り
いわゆる「暦年贈与」であれば、年間110万円までは基礎控除範囲内となります。
また、「相続時精算課税制度」を利用すれば、一定以上条件のもと、2,500万円までの資金を無税で受け取ることが可能です。
贈与での注意点
贈与の対象となる医師(受益者)以外に相続人がいる場合(特に兄弟姉妹)、後に遺産分割協議が必要になると、相続がもめる原因となりえます。
事業開始のための資金は「特別受益」とされ、受益者の法定相続分からは控除されますが、他の財産とのバランスから、他の相続人の不満の種となりえます。
開業資金を贈与で受ける場合には、相続対策も併せて行う必要があります。
さいごに
開業に必要な資金のほとんどは、「借入金(またはリース)」で賄うことになります。
医師の開業資金は、比較的融資がおりやすい傾向にありますが、それでも自己資金は必要な資金の10~20%は準備したいところです。
そうすることで、金融機関へ計画性のアピールにもなりますし、なにより精神的な余裕が生まれます。
開業したての数年は、資金繰りが大変気になるものです。
事業計画書の作成や融資の相談には、税理士や会計士、コンサルタントの力を借りることになるかもしれませんが、お金のことは人任せにせず、「自分でコントロール」することが大切です。