訪問診療専門診療所の経営を安定させるには在宅支援診療所の届出は必ず行う
目次
「在宅療養支援診療所」の届出が必須の理由
訪問診療専門診療所の経営を安定させる(医業収益を確保する)条件は、当然ですが以下の2点を上げることができますとなります。
1.患者を増やす
2.患者一人当たりの診療単価を上げる
「在宅時医学総合管理料」は訪問診療における医業収益の中で非常に大きな診療報酬となっていますが、「在宅療養支援診療所」の届出を行うことで、「在宅時医学総合管理料」の点数は大きく変わります。
(月2回訪問診療実施の場合)
在宅療養支援診療所以外:2750点 ➡ 在宅療養支援診療所:3700点
また、「在宅がん医療総合診療料」を算定するには、「在宅療養支援診療所」の届出をしていることが要件となります。
以上のことから、訪問診療専門診療所では、「在宅療養支援診療所」の届出は必ず行いましょう。
在宅療養支援診療所の施設要件
〇 診療所である
〇 当該診療所において、24時間連絡を受ける保険医または看護職員をあらかじめ指定し、連絡先を
文書で患者または家族に提供している
〇 当該診療所において、または別の医療機関の保険医との連携により、患家の求めに応じて、24時間
往診可能な体制を確保し、往診担当医の氏名、担当日等を文書により患家に提供している
〇 当該診療所において、または医療機関若しくは訪問看護ステーションとの連携により、患家の求め
に応じて、当該診療所の保険医の指示に基づき、24時間訪問看護が可能な体制を確保し、訪問看護
の担当者の氏名、担当日等を文書により患家に提供している
〇 当該診療所において、、または別の医療機関との連携により、緊急時に在宅での療養を行っている
患者が入院できる病床を常に確保し、受入医療機関の名称等をあらかじめ地方厚生局長に届け出て
いる
〇 連携する医療機関または訪問看護ステーションにおいて緊急時に円滑な対応ができるよう、あらか
じめ患家の同意を得て、その療養等に必要な情報を文書(電子媒体含む)で医療機関又は訪問看護
ステーションに提供できる体制をとっている
〇 患者に関する診療記録管理を行うにつき、必要な体制が整備されている
〇 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携して
いる
〇 年1回、在宅看取り数等を地方厚生局長に報告している
訪問診療専門診療所の場合の追加要件
直近1年間の実績
1.5軒以上の医療機関から、文書による患者紹介を受けて訪問診療を開始
2.看取20件以上、または15歳未満の(準)超重症児の医学管理10件以上
直近1カ月の実績
3.在宅時(施設入居時)医学総合管理料の患者数に占める施設入居時医学総合管理料のの患者数が
70%以下
4. 在宅時(施設入居時)医学総合管理料の患者数に占める 要介護3以上または厚生労働大臣が定め
る状態の患者が50%以上
注意しなければならないのが、1~4の要件を満たさなかった場合の取り扱いです。その場合、在宅時医学総合管理料(または施設入居時医学総合管理料)の点数は、在宅支援診療所のの区分の80%になってしまいます(3750点➡2200点)。
つまり、訪問診療専門診療所でることによるプラスはなく、実績要件を満たせない場合、むしろマイナスとなることになります。
最大のネックは「看取り」実績
在宅支援診療所として訪問診療専門診療所の経営を維持するには、「看取り実績」をいかに作るかが課題となります。
ここで重要なのが、在宅医療における看取りの場合、「息を引き取る瞬間に立ち会っている必要はない」ということです。
一定の要件のもと、翌日の死亡確認をもって看取りとすることが可能です。また、あらかじめ聴取した患者・家族の意向に基づき、受入医療機関で7日以内の入院を経て死亡した患者に対して、当該医療機関が、当該入院日を含む直近6カ月において訪問診療を実施していた場合も、看取り実績に含めることが可能です。
訪問診療専門診療所はスモールスタートが可能だけれども・・・
訪問診療専門診療所の初期費用は、従来型診療所と比較すると安く抑えることが可能です。
しかし、医業収益を確保する、看取り実績をあげていくには医師(院長)一人ではすぐに限界が訪れます。患者数が順調に増えていけば、自ずと複数の医師で24時間365日往診等に対応できる体制の整備が不可欠となります。
複数の医師を確保する方法としては、他の医療機関と輪番制にするなど協同する方法もありますが、医療機関ごとに対応すべき患者数や患者の状態に差があれば、医師によって負担感の感じ方は異なります(不公平感)。また、事務も複雑になりますから、複数の医師で対応する体制を組むのであれば、できれば自院で非常勤でもいいので医師を雇用する方がよいでしょう。
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