医療法人の監事

医療法人を設立するには、原則、3名以上の理事(内1名が理事長)と1名以上の監事を選出しなければなりません。

社員総会で選任すること。任期が2年を超えることができない(再任は可能)など、共通する点も多いですが、職務の内容の性質上、候補者の選任が理事に比べ難航します。

特に、小規模の医療法人(いわゆる「一人医師医療法人」)の場合、社員や役員をどなたにするかはスムーズな法人運営の重要な要素となります。理事の職務・権限などを理解することは候補者選びの第一歩になります。

1.監事の職務

監事は、医療法人の業務や財産状況について監査(いわゆる「内部監査」)が主な職務となります。

【その他の業務(医療法48条の6)】

① 医療法人の業務や財産状況について、毎会計年度、「監査報告書」を作成し、当該会計年度
  終了後3カ月以内に社員総会及び理事会への提出

② 監査の結果、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、これ
  を知事、社員総会又は理事会へ報告すること

③ ②について報告をする必要があるときは、社員総会の招集をすること    など

2.監事の責任

医療法人に対する責任

監事はその職務を怠ったときは、医療法人に対し、そのために生じた損害を賠償する責任を負います(医療法47条)。

医療法人外に対する責任

監事は、その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うことになります。他の役員も当該責任を負うときは、連帯責任となります(医療法48条1項、49条)。

また、事業報告書等への虚偽記載、監査報告書への虚偽記載もについても、それによって生じた損害を賠償する責任を負います(48条2項)。

3.監事の適格

自然人であること、後見の決定受けていないこと、一定の刑事罰を受けていないことなどは、理事と共通ですが、監査の適正を担保するため、その他に以下のような制限があります。

① 当該医療法人の理事・職員との兼任は不可

② 他の役員や職員の親族等、特殊な関係にある者顧問税理士や顧問弁護士も不適格とされま
  す。

さいごに

医療法人の監事は、設立しようとする医療法人と特別の関係にある者でなければ、特別な資格は必要ではありません(都道府県によっては独自のルール(簿記2級以上、理事長経験者など)を設けているところもあるようですが)。

しかし、医療法人の財務状況について十分な監査を行うには、できれば会計に明るい人材を選びたいところです。職務の性質、また賠償責任が明確化されたことで監事の人選は一段と難しくなったようです。

新たに別の税理士に監事を依頼する場合、あるいはコンサルタントに依頼する場合、医療法人設立に伴い年間数万円から数十万円の費用がかかることになります。