在宅医療を始める前に知っておきたい

9月 24, 2020 在宅医療

 患者さんから在宅医療の相談を受けたのだけれども・・・

 外来で長い間定期的に通院している患者さんから、「往診をしてほしい」「在宅医療に切り替えたい」と相談されたことはありませんか?

 

1.現状と展望

 3年に1度実施される厚労省の患者調査によると、約18万人が在宅医療の提供を受けています。2017年時点で過去最高となっていますが、在宅医療の対象患者の特性を考えれば、2040年までは増加し続けることはほぼ確実です。

 在宅医療を提供する医療機関は増加していますが、とくに都市部ではまだまだ受け皿となる医療機関が十分ではないとされています。

2.対象となる患者

 訪問診療の対象となる患者さんについては、「在宅で療養する患者で、疾病、傷病のため通院による療養が困難な者」と定義されています。

 年齢や重症度、要介護度、日常生活自立度などによる基準はありませんが、「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院できる」方は対象とはならないとされています(2014年診療改定時)。

 また、医療機関が在宅医療を提供できる範囲は、原則として医療機関の所在地から16㎞以内となります。患者さんの居住場所は自宅に限らず、医師の配置が義務付けられていない施設なども含まれます。

3.診療報酬

 診療報酬は、訪問診療料・往診料、在宅時医学総合管理料(在総管、施設管)や療養指導管理料などがあり、それぞれに加算項目が設けられています。

 在宅医療の診療報酬は医療保険と介護保険をはじめ、さまざまな制度が適用される複雑な構造となっています。外来の診療報酬よりも高い点数が設定されていますが、今後も頻繁に改定がされると思われます。

4.施設基準

 在宅医療の提供はすべての保険医療機関で行うことができます。施設基準を満たすことにより、「在宅時医学総合管理料」の算定や「(強化型)在宅療養支援診療所」の届出が可能となり、診療報酬をアップすることができます。

 算定できる点数が増えれば、患者さんの自己負担部分も増加しますが、そこで得られた収益でさらに提供できる在宅医療の質の向上を図ることも可能です。

5.連携

 在宅医療には、大病を患っても、寝たきりになっても「最期まで自分らしくを支える」という側面があります。この「支える」のためには、医師や自院の職員だけではなく、地域の訪問看護や介護との連携も欠かせません。

 診療報酬の加算の中にも連携を前提とした項目があります。

まとめ

 社会的な要請や医療機関の経営方針として、在宅医療を取り入れる医療機関は増えています。今後は在宅医療に対応しているかは日常のかかりつけ医を選ぶ基準にもなりえます。

 在宅医療の受け皿はいまだ十分ではないとされていますが、地方ではすでに高齢者人口の減少が始まている地域もあります。都市部ではこれからが本番となりますが、すでに数百人単位の患者さんに在宅医療を提供している医療機関もあります。

 これから10年20年と現在の医療機関を続けていくことをお考えであれば、在宅医療の提供は充分に検討する価値があります。