相続財産の範囲

『相続人は、相続開始のときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。』(896条)
 つまり、年金の受給権や扶養を受ける権利などは相続の対象外ということになります。

1.相続財産の調査

 相続が開始されると、10か月後には相続税の申告・納付をしなければなりません。そのためには、お亡くなりになられた方の財産についての調査をしなければなりません。また、遺産の分割協議やそもそも相続を承認するのか、放棄するのかの判断をするためにも、相続財産の調査はできるだけ早めに開始する必要があります。

 【一般的な相続財産】

  • 現金・預貯金
  • 不動産
  • 有価証券(株式など)
  • 自動車・船舶            など

 みなさまもこの辺りは容易に想像がつくかと思います。

 お勤めをされている方は、「慰労(死亡)退職金」のようものが支給される場合があります。これについては、お勤め先の規定が優先される場合があります。ご確認ください。

 相続財産の調査というと、ついこのようないわゆる「プラスの財産」のみを考えがちですが、借金などの「マイナスの財産」についての調査もお忘れになりませんようご注意ください。

2.判断の難しい財産

① 生命保険

 生命保険は、原則として「受取人」として記載されているかた固有の財産となります。たとえば、受取人として記載されているのが長男である場合には、遺産分割協議を経ることなく、保険金は長男固有の財産となります。
 仮に、受取人が「相続人」なっている場合には、特別の事情がない限り相続人全員の共有ということになります。

 ただし、生命保険金に関しては、「受取人」のほかに、「保険者」や保険料をだれが納めていたかによっても判断が異なる場合があります。

 また、生命保険金の額が相続財産全体に占める割合があまりにも過大であると評価された場合、「遺留分」の問題となる可能性があります。

② 生活費用の口座

 家賃や光熱費等、日常の生活費(必要費)の引き落とし先として使用していた口座の名義が仮に生存配偶者の名義であったとしても、死亡配偶者の収入によってその口座が維持されていた場合などは、この口座についても「相続財産」に含まれる可能性があります。

 また、専業主婦の方の場合、いわゆる「へそくり」が奥様固有の財産と認められないこともあります。
 ポイントは、お金の「出所」にあります。

③ 他人名義の口座

 お亡くなりになられたかたが、ご子息名義で、あるいはお孫さんの名義で銀行口座を開設している場合があるかと思います。これについても「生前贈与」と認められる場合と否定される場合があります。