開業医の相続対策 ~遺言書作成

3月 22, 2021 医業承継

団塊の世代が後期高齢者となるいわゆる「2025年問題」は、医業経営にとって重要なターニングポイントになりそうです。診療所を利用する患者さんの高齢化に伴う疾病構造の変化にどのように対応していくのか。今から対策を考える必要があります。

同時に、診療所の今後について考える良い機会にもなります。

高齢化は開業医も無縁ではありません。

特に診療所を継いでくれる方がいらっしゃるのであれば、承継がスムーズにいくよう、今から早めの準備をしておきましょう。

財産の額と遺言書の必要性は比例しない

相続が発生すると、被相続人の財産の帰属先(誰がその財産を相続するか)を決めるために、相続人全員による「遺産分割協議」を行う必要があります。

このとき、被相続人が遺言書を残してけば、遺産分割協議を行う必要はありません

相続でもめるのは、この遺産分割協議のときです。遺言書がない場合には、まず当事者同士での話し合いで財産の帰属先を決めることになりますが、これがうまくいかないと家庭裁判所での調停→審判となります。

ここ10年で家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割案件は約20%増加しています。持ち込まれる案件の多くは相続財産5,000万円以下のケースです。5,000万円という金額も決して安くはありませんが、分譲マンション1部屋と預貯金でこれくらいにはなるはずです。

昨今の「終活ブーム」は、このような事情を背景にしています。

医師(特に開業医)の資産は平均的な世帯に比べると高額になるケースが多いのが通常です。開業医の場合、親族内に診療所の経営を承継してくれる方がいらっしゃるのであれば、確実に医業資産を引き継げるように遺言書の作成は必須となります。

遺言書作成の目的は、
「承継人に医業資産を確実に引き継ぐ」こと

個人開設の場合、診療所の医業資産もその他の個人の財産同様、相続の対象となります。

後継者が医業資産を引き継ぐことへの理解は得られやすい傾向にありますが、医業資産はその性格上、財産評価が高額になりやすいため、他の相続人の相続分との不均衡が生じます。

相続人間の協議に任せてしまうと、最終的に承継人候補が継ぐことをあきらめてしまうあきらめてしまうことにもなりかねません。また、承継人候補が親族ではない場合には、生前贈与や死因贈与などで確実に医業資産を引き継げるようにします。

肝心なことは、院長の意思を明確に表明するということです。

後継者への引継を万全にしておけば安心して、生涯現役を貫くことも可能です。

さいごに

医業に限らず、事業承継を伴う場合、遺言書の作成はいくつかある相続対策のひとつにすぎません。相続財産の構成や金額によっては今から生命保険への加入を検討することが有効な場合もあります。贈与をするにしても、暦年で行うのか、相続時精算の方がいいのか。あるいは、法人の設立が有効なのか。

生涯現役。そして、円満相続に備えるために遺言書の作成は必須です。