院長の退職金について

個人開設のクリニックの場合、院長に退職金を支払うことはできません。

医療法人であれば、院長先生や役員を務めるご家族にも退職金を支給することができます。
また、退職金の原資調達を工夫することで、「持分対策」や「節税対策」を同時に行うことも可能です。

1.役員退職金の決め方

役員に対する退職金については、以下の点を考慮して計算します。

① 役員の勤続年数

② 退職の事情

③ 同種同規模法人における役員退職金の支給状況

役員退職金に関しても、従業員の退職金(退職制度を採用している場合に限り)と同様に、
あらかじめ「役員退職金規定」を整備しておきます。

役員が退職する際には、規定に基づき退職金を計算し、(臨時)社員総会で最終決定をする
ようにします。

2.退職金の計算方法

役員の退職金は、具体的には次のような計算式で算出することになります。

1)功績倍率法

   退職金=退職前の招集月額×勤続年数×功績倍率

2)1年あたり平均額法

   退職金=類似比較法人の1年あたりの退職金平均額(※)×勤続年数

     ※ ① 比較法人の役員退職金÷在職年数

       ② ①/比較法人数

どちらかの計算方法であれば、一般的に退職金の額は相応とされ、税法上、損金算入が
可能です。

3.退職金の原資

1)生命保険

役員を被保険者にした生命保険に加入する方法は、退職金の原資の調達で一般的に使われ
ています。金額に上限もなく、保険料の2分の1を経費とすることができるなど、節税対策
にもなります。

2)内部留保

現在、新たに設立することができる医療法人は、いわゆる「持分なし医療法人」のみです。
持分のない医療法人は解散時に残存財産(内部留保)を分配することができません。

そのため、後継者不在など、院長先生の代で医療法人の解散をお考えであれば、内部留保か
ら退職金を支払うのも方法のひとつです。

「持分あり医療法人」の場合、「持分対策」のひとつとして、内部留保を下げることがあげら
れます。この場合も、退職金の原資に内部留保を充てることが考えられます。

さいごに

最小限の役員構成(理事長=院長、配偶者、ご子息(1~2名)など)の医療法人であれば、
内部で退職金の額が問題になることは比較的少ないかと思われます。しかし、特定の理事が主
観で金額を決定することは、後の不満やトラブルの原因になりかねません。

税法上も、過大な退職金は損金算入が否定されてしまいます。

「役員退職金規定」を定め、退職金の計算方法や支給方法、社員総会での決定手続きなどを定
めておくことをお勧めします。