診療所経営の承継について

12月 11, 2020 医業承継

 経営者として診療所を運営している医師の中には生涯現役を貫く方が多くいらっしゃいます。実際、厚生労働省の調査においても開業医もしくは医療法人の代表者(71,709人)のうち、約56%(40,135人)が60歳以上。さらに、約20%(15,002人)が70歳以上となっています。

 「かかりつけ医」として、長年地域医療に貢献してきた診療所は経営者である医師本人の財産であるだけでなく、貴重な「地域の財産」でもあります。

 そんな先生の診療所をこのままただ閉院してしまいますか?それとも、誰か適任者がいれば診療所の経営を譲りますか?

開業医を取り巻く環境

【既存診療所にとって】

〇 地域の人口構造の変化

 現在70歳前後の医師が開業をされたころは、「開業すれば患者が来る」と言われていた時代かもしれません。しかし、人口構造が変化しすることでの患者の減少。また、高齢化に伴う疾病構造の変化による患者の減少を経験されている先生もいらっしゃるかと思います。

〇 新規参入

 年々開業から経営安定を成功させることが難しくなっているといわれますが、それでも毎年、一定数の新規の開業があります。

【新規開業にとって】

〇 既存の競合の存在

 大病院でキャリアを積み、最新の医療技術と医療機器を導入しても、どんなに入念な診療圏調査をはじめとするシュミレーションを行っていたとしても、やはり古参の診療所から患者さんを呼び込むことは容易ではありません。

〇 開業理由

 病院経営は規模にかかわらず、決して安定しているわけではありません。病床に対する診療報酬の(マイナス)改定や、不意の感染症の流行などによる減収により、従来のように医師を雇用することが困難な病院も増えています。

目指すべきはwin-win-win

 院長が高齢になり、後継者がいない診療所の多くは通常、院長の引退のタイミングで閉院(廃業)となります。しかし、長年地域医療に貢献してきた診療所の閉院は、医師の引退以上の意味を持ちます。

 医業承継がうまくいいくことは、現院長、新規開業をする医師、そして何より患者さんにとってとてもよいことになります。

【既存開業医のwin】

〇 新規の設備投資のメド

〇 退職金、譲渡利益

【新規開業医のwin】

〇 初期投資の抑制

〇 早期の患者獲得

【患者のwin】
〇 通いなれた診療所での受
診を継続できる

さいごに

 閉院時に継続して診療してくれる別院を紹介されたとしても、やはり患者にとっては不安なものです。医業承継に前後して新院長と現院長が並走する期間を設けることで引継に対する患者さんの不安も解消することが可能です。

 また、医業承継がうまくいくことは現在働いてくれているスタッフの雇用の継続(職員のwin)、地域医療構想に資する(行政のwin)ことにもつながります。

 医業承継には大きく分けて「親族内承継」「第三者承継」があります。とくに第三者承継をお考えであれば顧問税理士(あるいは、行政書士等の利用)と計画的に行う必要があります。