在宅医療をはじめるにあたり、特別な届出や申請は不要です。しかし、適切で充実した在宅医療の提供のためには施設基準の届出を考えたいところです。

在支診を考えたいクリニック

1.在宅の患者さんが増えてきた

 在宅を希望する患者さんが増えてくると、従来のように院長おひとりで外来診療時間の合間に訪問診療や往診を行うことが難しくなってきます。当然、スタッフの増員や医師の増員を検討することになります。

 在宅療養支援診療所の届出をすることで、増加する人件費などの費用を賄うことができます。

2.終末期の患者さんなど、重度の疾病の患者さんがいる

 終末期にある患者さんや、重度の疾病を理由に在宅医療の提供を行う患者さんが増えれば、夜間を含め緊急の往診に対応する必要が出てきます。在宅療養支援診療所の届出をすることで、他院との連携がとりやすくなるメリットがあります。

3.収益改善の手段として

 診療報酬は患者さん1人当たりでは、在宅医療のほうが高く設定されています。在宅医療の対象となる患者さんは限られていますが、関係事業者などとうまく連携を図ることにより、収益増が期待できます。

施設基準(24時間問題)

  1.24時間連絡を受ける体制の確保

  2.24時間往診が可能な体制の確保

  3.24時間訪問看護の提供が可能な体制の確保

 その他にも緊急時に患者が入院できる病床の確保などの施設基準をクリアする必要があります。

 「在宅療養支援診療所(在支診)」の届出をするときのもっとも大きなハードルが、この「24時間体制問題」です。もちろん、在宅医療の提供をする(求める)患者さんの病気の種類などにもよりますが、なかには必ずしも「24時間体制」が必要ではない患者さんもいらっしゃいます。

 24時間対応の訪問看護ステーションなど、関係事業者とうまく連携することにより、「24時間体制」の構築をすることも可能です。

今後の展望

 増え続ける競合と外来患者の減少

 2025年をピークに外来患者数は減少していきます。しかし、毎年一定数は確実に競合エリアに新規開業の医療機関が出てくることは考えられます。現在通院されている患者さんをそのまま在宅で「支えていく」医療体制を早い段階から確立しておくことが必要となります。

 在宅医療ニーズの高まり

 人生の最期を住み慣れた自宅で迎えたいという要望を持つ患者さんは今後も一定数はいらっしゃいます。

「機能強化型」へのステップアップ

 2040年まで在宅医療の需要は増加すると見込まれています。在宅の患者さんの比率が上がれば、特に医師一人で経営している医療機関にとっては、負担が大きくなっていきます。

 「機能強化型」の在宅療養支援診療所の届出をすることで、算定できる診療報酬も増え、複数人の医師で在宅医療に臨むことができます。

【「機能強化型」在宅療養支援診療所の施設基準】

1.3人以上の常勤医師

2.一定数の「緊急往診」「在宅看取り」実績