1.公正証書遺言とは

 公正証書遺言書は、公証人により次の手順で作成されます。

 ①まず、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授し、それを公証人が筆記します。

 ②遺言者及び証人(2人以上が立ち会う)に読み聞かせ、又は閲覧させ、筆記の正確なことを承認した後、各自がこれに署名押印します。

 ③最後に、公証人が、証書が法律の定める方式に従って作成されたものである旨を付記し、署名押印することにより作成されます。【民法969条】

 実際には、その場で口授することはなく、事前に文書等でのやり取りを行い、指定された日時に公証役場に訪問し、読み聞かせからが行われます。

 お体が不自由な場合など、公証役場に直接出向くことが困難な場合には、公証人に自宅や入院先、療養先などに出張してもらうことが可能です。

2.自筆証書遺言との違い

 公証人は、30年以上の実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する国家公務員であり、その大半が判事・検事出身です。当然、法律のプロ中のプロです。

 公証人が作成に関与しているということで、内容の有効性についても当然信頼性は高くなります(ただし、公正証書遺言が作成されている場合であっても、遺言者に遺言能力があったのかなど、争いになったケースもございます。)。

 公正証書遺言は、執行する場合に家庭裁判所の検認を受ける必要がなく、スムーズに遺産分割に必要な手続きに移ることができます。

 通常の公正証書は、原則20年間保管されることになっておりますが、近年の長寿傾向に鑑み、遺言書については、原則、遺言者が120歳になるまで保存されることになっております。

3.メリットとデメリット

【メリット】

① 法的有効性の担保

② 検認が不要

【デメリット】

 内容によっては、自筆証書遺言に比べて割高

 民法改正により、自筆証書遺言を法務省で保管してもらえる制度ができました。この制度を利用すれば、法務省の職員による法的要件の確認が行われるため、遺言執行時の家庭裁判所での検認が不要となり、スムーズな手続きへの移行が可能となります。


 また、紛失、改ざん・破棄の心配もなくなります。

公正証書遺言をお勧めする場合

 民法の改正により、公正証書遺言と自筆証書遺言との違いは小さくなりましたが、次のような方は、公正証書遺言の利用をお勧めいたします。

① 記載する条項が多岐にわたり、内容が複雑な場合。また、文量が多い場合。

 専門家が関与する以上、自筆証書遺言の有効性が劣るわけではありませんが、自筆しなければいけない以上、書き損じ、書き落しが生じるリスクがあります。

② トラブルが生じる可能性が高いと懸念される場合

 公正証書遺言の場合、作成時に証人が少なくとも2名以上立ち会うことが要件となっております。仮に訴訟等に発展した場合、この証人が証言することになります。

※ 証人が用意できない場合もご相談下さい。