医師としてのキャリアが10年経つと、医師としての今後考えるのは当然のことです。
選択肢のひとつには「開業医」も含まれます。

開業するタイミングは、早いに越したことはありません。

 年間の開業件数から、廃業件数を差し引くと約1,000件の診療所が新規に開設されています。
しかし、開業すれば患者さんが集まる時代はもはや過ぎた過去のはなしです。人口構造の変化や
診療欧州の改定は、診療所経営にとってプラスに働いているわけではありません。

開業には強い意志が必要

  開業医となることは、すなわち「経営者」となることです。患者を集め(営業)、資金につい
て常に気配りをし(財務)、看護師をはじめスタッフとの人間関係の円滑に注意し(人事)、役所
などの対応や時には患者からのクレームも一手に引き受けなければならないのです(法務)

 現在に対する不安や不満を解消するための、いわば「後ろ向き」な開業であれば、開業は絶対に
おすすめしません。「なにがなんでも、開業医として成功するのだ」という強い意志が醸成されな
いうちは、まだ開業のタイミングではありません。

 また、開業にはご家族の理解と協力が不可欠です。開業の意思が少しでもあるのであれば、少し
ずつお話しておきましょう。

開業までにかかる時間

 ご両親や親族の経営している診療所を引継ぐ場合を除けば、開業準備の第1段階は、開業エリアの
選定と物件探しになります。また、現在の勤務先との退職に向けた調整も行わなければなりません。
現在の勤務先を円満に退職するかどうかは今後の診療所経営に少なからず影響を及ぼす可能性があり
ます。

 順調に準備を進めていったとしても実際に開業に至るまでは、平均で2年前後の時間を必要としま
す。開業の準備は多岐にわたり、中には同時進行で行わなければならないこともあります。勤務医を
続けながらの準備は心身にかなりの負担を与えます。外部に協力者を探すことも一つの手段です。

「失敗しない開業」を目指す

 開業医にとっての「成功」とは何でしょうか?

 成功の定義は、それぞれでしょう。勤務医時代の2倍の年収を得ることができれば、それは間違いな
く「成功」といえるでしょう。現在も年間約1,000件の診療所が新規に開設されていますが、診療所の
数はすでに飽和状態です。廃院する診療所の中には経営難によりやむなく閉じる診療所も含まれていま
す。

 とくに、歯科医院は地域によっては、コンビニよりも集中して設立されています。歯科医院のおおく
は自由診療の割合を上げ、なんとか収入を確保しているというところも少なくありません。

 一般の診療科に関しては、工夫次第で自由診療に頼らずに経営をすることが可能でしょうが、これか
ら10年、20年と見たときに、経営が安泰とは言えません。

 市場が大きく、利便性の高い都市部では開業を望む医師はこれからも減ることはありません。準備の
段階で「診療圏調査」や徹底的な収支のシミュレーション、かつての勤務先との連携など、できること
は何でもしなければなりません。

 重要なことは、「開業すること」ではなく、「続けていくこと」です。

 そのためには、地域の患者さんのニーズを的確にとらえ、さらに自院の特徴をしっかりと打ち出すことです。