医療法人設立認可申請前準備と設立要件

 医療法人の設立認可申請には多くの書類を用意する必要がありますが、スムーズな審査のために、事前に確認しておかなければならないことがあります。

現状の個人開設のクリニックに関して、
保健所等に届け出る必要のあるものを済ませておく

 届出済み事項と現状を合わせておく

 医療法人の設立認可申請前に行わなければならない手続きを忘れていると、予定外の時間がかかったり、通常よりも厳しくチェックされてしまうことがあります。現状のクリニックに関して、保健所に届け出る必要のあるものについては、確実に準備を済ませておきましょう。

 【届出義務のある事項】

1.名称

2.開設場所

3.診療科目

4.医師、看護師、薬剤師等など従業員の定員

5.敷地面積及び平面図

6.建物の構造概要及び平面図

7.管理者の住所及び氏名

8.診療の従事する医師若しくは歯科医師の氏名、
  担当診療科目、診察日、診療時間                など

 なかでも重要なのが、図面関連です。
 個人開設当初の図面と変わっている場合が見受けられますが、医療法人に切り替える場合、医療法人設立認可申請書に添付する図面と保健所に提出する図面は一致する必要があります。

 また、医師の場合(特に女性医師の場合)、婚姻により苗字が変わった場合などは、医師免許証(歯科医師免許証)の名前を書き換える必要があります。この書き換えには通常3カ月前後時間がかかります。

賃貸借契約書について

 不動産賃貸借契約書には注意が必要です。医療法人を設立すると賃借人の名義を個人から設立する
医療法人に変更する必要がありますが、これに対する貸主の承諾を得るのに思いのほか時間を要する
場合があります。

 また、貸主に変更がある場合には、別途書類が必要となることがあります。

 医療法人に債務(借入金など)の引継を行う場合も、金融機関によっては対応に時間を要する場合が考えられます。医療法人の設立を検討する場合、事前に金融機関へ打診をしておくことがスムーズな手続きには欠かせません。

医療法人の設立要件

1.人的要件

【社員】

 医療法人の設立のためには、3名以上の社員がいなければなりません。

 社員総会は合議体であり、出席者の過半数で決を採ることになっています。可否同数の場合、議長が決することになっています。自治体によっては、議長以外に3名以上の社員を要求するところもあるようです。

【役員】

 医療法は役員として理事3名以上(うち1名は理事長)、監事1名以上を規定しています。

 役員は社員の中から選ぶ必要はありませんが、多くの場合、社員と役員とは同一であることが一般的です。
 監事はクリニックや院長先生(またはそのご家族)と一定の関係にある方の就任は認められない場合があります。

 社員総会は役員の選任・解任の権利を持つなど、医療法人の最高意思決定機関となります。くれぐれも社員となる方にはご注意ください。

2.資金面の要件

 医療法人を設立する際には、(現在は)基金に財産を拠出する場合がほとんどです。基本的には、現在のクリニックの保有する資産の一部を提供することになるかと思います。

 医療法は医療法人設立認可の要件として、最低限保有すべき資金については規定していません。現行の医療法では、資産要件が見直されており、「必要な施設、設備又は資金を有していなければならない」とされており、自己資本比率に関する要件も廃止されました(おおむね2か月分の運転資金を賄える資金を要求する自治体もあるようですが、公的な根拠はありません)。