ご家族がお亡くなりになりますと、葬儀~役所関係の手続きなどに追われているうち、あっという
間に時間が流れていきます。相続税の申告(納付)までの期間は10ヶ月です。相続税の各種控除を受
けるためには、この申告までに遺産の分割協議まで済ませておく必要があります。

 とくにお仕事をされながら相続手続きを行うのは簡単なことではございません。遺産分割協議を
始めるタイミングといたしましては、四十九日法要の頃がおすすめです。相続人それぞれの生活や事
情を考えると、この時期を逃すとなかなか切り出すのが難しいかもしれません。

遺産整理の際に行うべきこと

 「本格的な相続財産調査」の準備段階として、「遺品」と「遺産」を分類整理し、調査の足掛かり
を作ります。

「遺品」と「遺産」

 「遺品」とは、個人の所有に属した一切の物品とお考え下さい。一般的に市場価値として評価でき
ないものも含まれます。「遺産」とはいわゆる「相続財産」を指し、市場価値を評価できるようなも
のをいいます。

 遺品の整理は可能であれば、特定の相続人の方にお任せになるのではなく、複数人で行われること
をお勧めいたします。思った以上に時間がかかることが想定されますと同時に、あまり考えたくはあ
りませんが、後々のトラブルを回避する観点からも複数人が同時に行うように日程の調整を行ってく
ださい。

 また、このとき、郵便物(電気代やガス水道代の請求書など)の管理をしておくと、債務の把握や
解約手続きに漏れる心配がありません。

遺言書を探す

 遺品整理の第一の目的が「遺言書」を探すことにあります。
 有効な遺言書が作成・保管されていれば、後の遺産分割協議を省くことも可能ですし、遺言書の作
成と同時に財産目録も作成されている可能性もあります。ただし、発見された遺言書や財産目録に完
全な相続財産が記載されているとは限りません。
 公正証書遺言や法務省の保管制度を利用した自筆証書遺言の場合問い合わせれば比較的容易に遺言
書の有無を確認することが可能ですが、過去には、広告の裏に書かれた遺言と思われる文章につき有
効性が争われた事例もございます。また、大学ノートに書かれている場合なども、有効性の判断と
は別に「ご本人の意思」として考慮に入れるべき場合があります。

【注意】

 遺産分割協議が終了した後に有効に作成された遺言書が発見された場合、遺産分割協議のやり直し
を余儀なくされる場合があります。

「財産目録」の作成

 遺品と遺産の分類が済みましたら、「財産目録」の作成を行います。

・ 預貯金債権 … 通帳などがあれば、銀行名、口座番号を控える。

・ 不動産 … 「登記情報証明書」があれば、その通りに記載。
        権利書がない場合も、わかる不動産があれば記載。

・ 有価証券 … 現在は有価証券が発行されない場合がほとんどです。
         証券会社からの郵便物などないか、ご注意ください。

・ 貴金属 … 一か所に現物をまとめて保管(写真に残すことも方法)。

・ 骨董品、絵画等 … 評価が難しいもの。

遺産整理の際の注意点

「形見分けも慎重に」

 一見して財産価値のある物品であればよいのですが、たとえばお着物や、骨董品などは専門家の判
断を仰ぐ必要が生じる場合があります。

 また、世間一般では財産価値の評価を得ない物であっても、相続人の中には特別な思い入れを持つ
遺品もございます。遺産分割協議といわゆる形見分けとは異なるものではありますが、必ず相続人全
員の了解を得て形見を受け取るようにご注意ください。

すべてが終わるまで遺品には手を付けない

 たとえば、預貯金についてご自身の相続分だからと手を付けてしまうと、後に多額の借入金が発覚
したときに既に相続放棄ができない状態ということもありえます【法定単純承認】。