「相続対策」と「相続税対策」とは、まったく異なるものです。ご自身の相続に潜むリスクを正し
く見つけて、正しい対策をとる必要があります。

1.「相続対策」

 「相続対策」と一口に言っても、定義はさまざです。「相続税対策」は「相続対策」のひとつにす
ぎません。
 あえて定義するとすれば、『円満相続実現のための対策』といったところでしょうか?

 ① 「遺言書作成」

 遺言書の作成は、ご自身の財産の処分について、明確な意思(なぜそのような方法を選択したのか
の理由)をご家族をはじめ相続人に伝えるためです。
 重要なのは、この「なぜ」の部分にあります。

 遺言書の作成の際には「付言事項」の記載や、遺言書の他にお手紙のような形でお気持ちを残され
ることをお勧めします。

② 「財産目録の作成」

 「財産目録」とは、預貯金の口座、所有不動産、株券などの財産の一覧表のことです。みなさまも
すでにご経験がおありかもしれませんが、相続が開始されると、10カ月以内に相続税の手続を行う必
要があります。
 相続税の手続を行うとき、さまざまな控除を利用することができますが、条件として、「遺産分割
協議が済んでいること」が求められる場合があります。あるいは、「そもそも、相続税の手続きの必
要があるのか?」を知るためにも亡くなられた方の財産の全容を素早く知ることができるのは重要な
ことです。

 とくに、なんらかの「負債」をお持ちの方は、プラスの財産に加えて負債などの「マイナスの財産」
につても記しておくことが重要です。
 相続の「承認」をするのか、「放棄」をするのかの判断に必要だからです。

 財産目録を作成するのに、市販の「エンディングノート」が参考になるかと思います。ぜひ、ご利
用ください。

③ 「断捨離」

 多くの方は、ご自身には大した財産はないとお考えになるかもしれません。

 しかし、どうでしょうか?作成した「財産目録」をご覧になってください。しばらく使っていなか
った「休眠口座」やご自身が両親から相続して一度も見たことのない不動産などありませんか?

 このような財産は、金額や評価額の多寡に関係なく、相続のたびにどんどん埋もれていってしまい
ます。
 掘り起こしに成功した財産の処分をしておくことは、ご家族の負担を減らすことになります。たと
えば、複数ある銀行口座を徐々に統合して減らしていく。処分できる不動産はすべて現金化しておく
など、です。

 また、ご自宅においてあるものを徐々に減らしていく作業も案外、ご家族の負担軽減につながりま
す。ぜひ、ご検討ください。

④ その他

 ①~③までの対策は、基本的にはおひとりで行うことになります。
 しかし、相続の当事者は残されるご家族といっても過言ではありません。できれば、「墓じまい」
や「葬式の希望」を伝えた流れで、少しでもご自身の希望についてお話しておくことも「相続対策」
と言えます。

2.「相続税対策」

 「財産目録」を作成したら、それらの財産について「評価額」をざっくりで結構です。計算してみ
てください。
 その金額から「基礎控除」(3,000万円+600万円×相続人)を差し引いた額があれば、相続税手
続の必要がある可能性があります。

 相続税の納付は、原則、「現金一括納付」となります。計算した相続税額が高額になりそうな場合
には、相続税の原資を準備しておくことも検討する必要があります。

 一般的な対策としては、①生命保険に加入する、②不動産屋株式を現金化しておくなどの方法が考
えられます。

 正確な相続税の金額を予め知っておきたい方、税理士やファイナンシャルプランナーにご相談され
ることもぜひご検討ください。